文字サイズ

荏原 畠山美術館 開館記念展 Ⅰ―與衆愛玩一共に楽しむ–

概要

 本展は、今年10月に開館60年を迎える畠山記念館が大規模な改築工事を終え、装い新たに「荏原 畠山美術館」として開館することを記念して開催するものです。

 今回の改築工事では周辺環境や時代の変化を踏まえ、これまでの伝統を継承するとともに、新たな理念を加えて生まれ変わることを目指しました。新館を増築するとともに、本館は和の趣向を残して改修しました。展示室は3フロア、面積にして旧畠山記念館の約3倍に拡張され、展示ケースを含む最新の設備に更新いたしました。
本館ではこれまでと同様に季節の移ろいに合わせ、主に収蔵作品による展示を、そして新館では新たな領域にも挑戦する企画展示を行ってまいります。また、庭内に点在する5棟の茶室を利用して茶の湯をはじめとする日本文化を継承する活動を行うことで、「人が集い・楽しみ・学ぶことのできる美術館」を基本理念とした活動を進めてまいります。

 3回にわたり開催する記念展のⅠは、畠山即翁の茶と能楽をテーマに館を代表する名品を展示いたします。そして、新たな領域への挑戦の第一弾として「酒井億尋コレクション」を一堂にご紹介いたします。美術館の創設者であり、作品の愛蔵者であった畠山即翁の美意識や想いに触れていただくとともに、美の架け橋となった二人の実業家・コレクターに光をあてる展観です。

本展を通じて與衆愛玩の想いをご来館の皆様とともに分かち合いたいと思います。

 

開催期間 令和6年10月5日(土)~12月8日(日)
開館時間 午前10時~午後4時半(入館は4時まで)
休館日 月曜日(ただし10月14日、11月4日は開館)、10月15日(火)、展示替え期間(11月5日(火)~11月7日(木))
入館料

一般: 1,500円(1,300円) 高・大生: 1,000円(900円)
*中学生以下無料(ただし、保護者の同伴が必要です)
*( )内はオンラインチケット・20名以上の団体料金
*障がい者手帳をお持ちの方とその介護者各1名は無料です

オンラインチケットは以下のサービスでご購入できます

みどころ・展示作品紹介

Ⅰ.祝祭の宴 <本館2階展示室>
ようこそ、荏原 畠山美術館へ。深まりゆく秋に相応しい茶道具を揃えて、畠山コレクションを代表する名品とともに美術館の開館を祝います。折しも今秋は畠山即翁が美術館を開設して60周年を迎えます。作品の愛蔵者であった即翁の美意識や想いとともに豪華な取り合わせをご堪能ください。

重要文化財 割高台茶碗 朝鮮時代【全期間展示】

国宝 煙寺晩鐘図 伝 牧谿筆 南宋時代【展示期間:10月5日~11月4日】

Ⅱ.能楽—美意識の支柱 <新館2階展示室1>
即翁が育った金沢といえば、加賀藩の藩主前田家が能の宝生流をひいきにしたことから、能が盛んな地として知られます。即翁の父親は宝生流の教授資格をもつほどの能好きであり、その血を受け継いだ即翁もまた、謡を習い、舞台に立ち、昭和30年には宝生流の免許を皆伝されるほどの実力者でした。ここでは、即翁が演能のために蒐集した能楽にまつわる品々を紹介しながら、自ら謡い舞うことによって自らの内に取り込まれた能楽が、即翁の美意識の支柱であった様を見ていきます。

段替に唐花根笹模様厚板唐織 弘化4年【展示期間:11月8日~12月8日】

Ⅲ.美の架け橋―知られざる酒井億尋コレクション <新館地下1階展示室2>
即翁の茶会に参加する一人でもあった酒井億尋(1894~1983)。芸術への造詣が深く、美術品の蒐集(とくに日本洋画や西洋絵画、日本画など)を行うとともに、美術や文化への惜しみない支援をはじめ、蒐集品を寄贈するなど、二人には多くの共通点もあります。美の架け橋となった二人の実業家・コレクターに光をあてる機会となれば幸いです。

Ⅳ.與衆愛玩の想い <新館地下1階展示室3>
與衆愛玩とは、即翁の愛蔵印に刻まれている言葉で、「自らのコレクションを独占するのではなく、多くの人と共に楽しもう」という即翁の想いが込められています。
即翁の想いは1964年の畠山記念館設立へと結実しています。即翁の私邸跡地であり歴史に彩られた由緒ある土地の記憶と記録をめぐりながら、かつてこの土地に集った人々にも想いをはせていただければ幸いです。

イベント・ラーニング

茶室公開―「明月軒」の厨子

11月17日は、当館創設者即翁の命日にあたります。この特別な日に、普段は非公開の畠山家のお仏壇「螺鈿金銀蒔絵大厨子」を、茶室「明月軒」(通常非公開)でご覧いただけます。漆芸の最高峰と称される中尊寺金色堂(平泉・世界遺産)の巻柱と須弥壇を模したこの厨子は、繊細で高度な技巧が施されています。
この機会にぜひお越しください。

日時:11月17日(日)
公開時間:10:30〜15:30
料金:無料(ただし、別途入館券が必要です)

TOPへ戻る